ヨシ再考
前記事で、楽しかったヨシ(葦)刈り参加を書きながら思ったこと。
お付き合いいただけますか。
誰もが良かれと思って、佐鳴湖にヨシの植栽がされてきましたが、
新しくわかってくることって、何にでもありますよね。
前回もご紹介しましたが、
先日の静大工学部での「サイエンスカフェ」で、
戸田三津夫先生が
「ヨシは、窒素とリンは地下茎に入れて、枯葉には残っていません。
だから、枯れてからではなく、青々とした葉を刈るのが理想的です」
とおっしゃっていました。
(こちらの記事です)
ですから、
試験的に、何年間か、ヨシが青々としている時期に刈ってみて、
水の数値や湖底の状態などを比較してみるのもいいかも知れませんね。
また、何回かご紹介していますが、
今年8月、佐鳴湖とその周囲を視察して講演された
東京大学の山室真澄先生は
「ヨシは目に見えて腐ったのち、完全に分解するまで3年かかり、
湖底のヘドロ化の原因にもなる。
明らかにシジミに悪いので、
宍道湖では10年間続けたヨシの植栽を今年で中止した」と。
驚きました。
佐鳴湖の環境改善に永年ご尽力くださっている方達も、
カルチャーショックを受けつつ、
深く納得しておられる様子でした。
講演会でも見せてくださった最新情報が、
山室先生のブログにも紹介されています。
ヨシの威力?|Limnology-水から環境を考える
昨日ご紹介した、11/9(土) の佐鳴湖南岸のヨシ刈りでの様子。
ヘドロ化だけでなく、
ヨシの根元には、どんどん土が堆積していくんですね。
湖底より20センチ近くあるような。。
これも自然の力強さ、迫力ありますね。
30年以上佐鳴湖のそばにお住まいの木下孝司さんは、
ご自身のブログ
『佐鳴湖百景』 で、
「2010年末、新川河口に人工的に作られた佐鳴湖の干潟は
葦に覆われ、泥に埋まりつつあります。」
と記されています。
揺れる葦の足下 / 佐鳴湖百景
木下さんが撮られた、
2011年1月2日の新川河口付近の様子。
新しい道 / 佐鳴湖百景
昨日、ほぼ同じ地点で撮ってみました。
ここも先日、業者さんによるヨシ刈りがされましたが
水路の半分以上がヨシ(葦)で覆われている部分も多くあります。
また、当ブログは、佐鳴湖のそばに39年住む家族の
「佐鳴湖に唯一残された自然湖岸を残して欲しい」
という思いから始まりましたが、その本意のひとつは
「自然保護を検討せずに人工的な建造物をつくるのはお止め頂きたい」
という願いです。
ですから、今年8月の
「佐鳴湖のみらいを育む会」議事録の2ページ目に記されている、
「動物たちの習性を細かに踏まえた上で、ヨシを刈ることは必要」
とするメンバーの方々のご意見に、
ご教示をいただいた思いで納得しております。
(「佐鳴湖のみらいを育む会」の議事録は、定期的に、
佐鳴湖地域協議会のHPに公開されています。)
誰もが「ヨシは水を綺麗にしてくれる」と思い、
「良かれ」と思ってしてきたことなので、
誰かが悪者になる必要はありません。
佐鳴湖クリーン作戦にしても、ヨシ刈りにしても、
行政のみなさんも含めたこれだけ多くの方が、
佐鳴湖に心と行動を寄せていらっしゃるのを知った今、
是非、みんなでヨシへの取り組み方を考えてみませんか、
とお伝えせずにいられません。
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